【不当解雇・雇止め】Case587 日々雇用労働者に対する雇用停止に雇止め法理(労契法19条2号)の類推適用が認められた事案・近江アサノコンクリート事件・大阪高判令6.1.19労判1327.15
事案の概要
本件は、原告労働者Xが、被告Y社に対し、Y社が行った雇止めの通知が無効であると主張し、労働契約上の地位確認等を求めた事案です。
Xは、平成4年にY社に正社員として入社し、平成11年に希望退職しましたが、退職後もY社の下で、他の日雇労働者に優先して、1か月に13日ないし18日程度稼働する状態が長期間続きました。Y社は平成30年、Xに対する日々雇用を停止する意思を通知しました。Xはこれを雇止めであるとして、その有効性を争い、訴訟を提起しました。
判決の要旨
判決は、労働契約法19条2号(雇用継続の合理的期待)の類推適用を認めました。判決は、本件では、XがY社の下で約19年にわたり、1か月当たり少なくとも13日程度以上の稼働が続けられていたという事実を認定しました。そして、このような場合、日雇労働者において、従前と同程度の稼働が認められる状態が継続することについての期待の存在やそれに対する保護の必要性は、有期労働契約の更新の場合と異ならないといえることから、日雇の労働者について、労働契約法19条2号の類推適用の余地があると判示しました。
本件における雇止めの有効性に関しては、Xには平成30の時点において、今後も従前と同程度の日々雇用における稼働が認められる状態が継続すると期待することについて合理的な理由があったと認めました。そして、雇止めの理由として挙げられたY社の売上げの先行き不透明さ等を考慮しても、長期間安定的に稼働があったXの日々雇用を一気に恒常的にゼロとすることには客観的に合理的な理由が認められないと判断し、社会通念上相当であるとも認められないとしました。したがって、本件通知による雇止めは無効であると結論づけました。
ただし、Xが既に65歳を迎えていたことから、地位確認は棄却されました。
※確定