Case79 2度のPIPを経て行われた能力不足解雇が無効とされた事案・ノキアソリューションズ&ネットワークス事件・東京地判平31.2.27労判1257.60
(事案の概要)
本件は、被告会社でプロジェクト・コーディネーターとして勤務していた原告が、平成28年に業務成績が不良であることなどを理由に解雇されたため、解雇の無効を主張し雇用契約上の地位確認等を求めた事案です。
原告は、非管理職としては最高位のグレードにあり年収は約900万円でした。原告は、平成24年に最低評価(下位5%)を受け、平成25年に1度目の業務改善指導計画(PIP)を受け、PIP成功と判定されました。しかし、平成26年に再び最低評価を受け、平成27年に2度目のPIPを受けましたが、平成27年も最低評価を受けPIP失敗と判定されました。
(判決の要旨)
判決は、原告はその職位に照らして職務遂行上必要とされる能力等が不足しており、このため期待された職務を適正に遂行することができず、その業務成績は客観的にみて不良であるとの評価を免れないとしました。
もっとも、1度目のPIPで成功と判定されていることや、会社が配置転換を検討していないことなどから、改善指導や配置転換によって原告の業務成績が向上する可能性があったとして、本件解雇は客観的合理的理由及び社会通念上の相当性を欠き無効であるとしました。
退職勧奨やパワハラによる慰謝料請求もしていましたが、認められませんでした。
※確定