Case5 個人情報漏洩を理由とする出勤停止処分が無効とされた事案・学校法人目白学園事件・東京地判令2.7.16労判1248.82

(事案の概要)

 原告Aは、被告のパソコンとメールシステムを使って、複数の同僚に対して、被告の理事長らを批判するメールを複数回送信したことを理由に、原告Bは、職務上知り得た従業員の個人情報を、私的に企画した送別会の便宜のために原告Aに対して提供したことを理由に、それぞれ被告から出勤停止5日の懲戒処分を受けました。

 原告らは、懲戒処分の無効を主張し、被告に対して、懲戒処分が無効であることの確認や、出勤停止により得ることができなかった賃金(賞与の一部や未昇給分も含む)の支払等を求めました。

(判決の要旨)

1 懲戒処分無効の確認の利益

 懲戒処分無効確認のような、過去の法律関係の確認を求める訴えは原則として確認の利益が認められず不適法(この場合、出勤停止処分により支払われなかった賃金の支払請求で足りるとされています。)ですが、判決は、懲戒処分が「単に賃金額の差異をもたらすにとどまらず、当該処分が賃金体系、手当等の賃金関係のほか、勤務内容や定年等の雇用契約の内容や終了時期等について、将来にわたってその給与等級や待遇上の職位、階級の差異と直接結びついているような場合」には、例外的に確認の利益が認められるとし、本件は出勤停止により昇給がなされなかったことから、懲戒処分無効の確認の利益を認めました。

2 懲戒処分の有効性

 判決は、原告Aについては、出勤停止処分は被告の裁量の範囲内であるとして有効としました。

 一方、原告Bについては、懲戒事由に該当するものの、出勤停止は重過ぎるとして、懲戒処分が無効であることの確認、出勤停止中の給与、出勤停止により支払われなかった賞与、出勤停止がなければ昇給していたはずの給与等の支払請求を認めました。懲戒処分の不法行為該当性は否定されました。

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