Case51 27項目の業務ミス及び1項目のセクハラ行為が認定されたものの解雇は無効とされた事案・みずほビジネスパートナー事件・東京地判令2.9.16労判1238.56

(事案の概要)

 原告(男性)は、平成30年8月、36項目の業務ミス及び7項目の非違行為(セクハラ)を理由に解雇されました。原告は、平成27年に窃盗を理由に7日間の出勤停止処分、平成29年にセクハラを理由に2週間の出勤停止処分を受けていました。

 本件は、原告が解雇無効を主張し、地位確認及びバックペイ(賃金及び賞与)の支払を求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、36項目のうち、27項目は原告に落ち度があるミスであったと認定しましたが、いずれも本件解雇から半年以上前のものであったり、細かなミスや落ち度で、修正を指示され対応していたことなどから、原告の業務ミスは相当重大なミスであったとはいえず、改善の意欲や可能性がないとまではいえないとし、直ちに解雇を相当とする程度に至っていたとはいえないとしました。

 また、判決は、7項目の非違行為のうち、原告が女性社員に対して「可愛い、素敵。」「今度食事に行こうね。」「メールアドレスを教えてほしい。」などと述べ、自身のメールアドレスを書いた名刺を渡したという1項目のみを性的な言動があったと認定しましたが、身体的接触を伴うものでも直接的に性的な発言でもないことから、その程度は重大とまでは評価できないとしました。

 以上より、判決は解雇を無効として、地位確認及びバックペイ(ただし、定年までの賃金)の支払を認めました。賞与請求は棄却しました。

※控訴

Follow me!