Case125 別件訴訟の尋問期日に出頭出来ていたこと等から復職可能の主治医の診断書が信用できるとされた事案・神奈川SR経営労務センター事件・東京高判平30.10.11

(事案の概要)

 本件は、精神疾患での休職期間満了により退職扱いとされた原告労働者ら2名が、復職可能な状態に回復しており退職扱いは無効であると主張して、雇用契約上の地位の確認や賃金及び賞与の支払いを求めた事案です。

 原告らは、被告センターとの間で職種の限定のない無期雇用契約を締結していましたが、それぞれ精神不調により仕事を休むようになり、被告センターから休職命令を受けて休職しました。

 原告らは、休職期間満了前に、復職可能の主治医の診断書を提出して被告センターに復職を求めましたが、被告センターは、産業医が復職不可の意見を出していること等を理由に復職を認めず、原告らを休職期間満了により退職扱いとしました。

 原告らは、休職期間満了前に、原告の1名が提起した被告センターらに対する別件訴訟で、本人ないし証人として尋問期日に出席していました。

(判決の要旨)

1審判決・横浜地判平30.5.10労判1187.39

 判決は、休職事由が消滅した場合とは、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復した場合をいうとしたうえ、原告らはいずれも休職期間満了日の時点で従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復していたとし、原告らの雇用契約上の地位の確認及び賃金請求を認めました。賞与請求は棄却しました。

 判決は、原告らが別件訴訟の尋問期日に何ら問題なく出廷できていること等から、主治医の復職可能の診断書は信用できるとしました。

 一方で、産業医が復職不可とした理由は、結局のところ休職前の状況からして、原告らが復職すると職場の他の職印に多大な影響が出る可能性が高いというものであり、従前の職務を通常の程度に行える健康状態に回復したか否かとは無関係な事情であるとしました。

控訴審判決

 控訴審も1審判決を維持しました。

Follow me!