Case129 再度の休職が可能であったにもかかわらず主治医の意見を聞かずにされた躁うつ病の再発を理由とする解雇が無効とされた事案・K社事件・東京地判平17.2.18労判892.80
(事案の概要)
原告労働者は、平成12年1月頃から約2年7か月間、躁うつ病の症状により欠勤が多くなり、平成14年9月から休職しました。原告は、平成15年4月から復職しましたが、同年5月までは欠勤が目立ち、平成16年1月に入ると躁とみられる症状が再発したため、被告会社は、同年3月に原告を「精神又は身体の障害若しくは病弱のため、業務の遂行に甚だしく支障があると認められたとき」等の就業規則上の解雇事由により解雇しました。
会社の就業規則上、同一理由による再度の休職も予定され、休職期間は最大2年とされていました。
本件は、原告が解雇の無効を主張して地位の確認及び賃金の支払い等を求めた事案です。
(判決の要旨)
判決は、解雇に先立って会社が原告主治医の助言を求めた形跡がないことや、原告本人尋問の様子から治療の効果が上がっていたと考えられることから、平成16年1月に現れた原告の症状について、程度が重く、治療により回復する可能性がなかったということはできず、解雇事由に該当しないとして、解雇を無効としました。
判決は、就業規則上再度の休職も可能であり、再度の休職を検討するのが相当であること、会社は原告のほかに病気で通常勤務ができない者2名の雇用を継続しており原告のみ解雇することは平等取扱いに反することも解雇権濫用の理由に挙げています。
※控訴