Case183 派遣添乗員について労働時間を算定し難いときに当たらないとして事業場外みなし制の適用を否定した最高裁判例・阪急トラベルサポート(派遣添乗員・第2)事件・最判平26.1.24労判1088.5【百選10版41】

(事案の概要)

 派遣会社である被告会社は、訴外A社等の派遣先にツアーの添乗員を派遣していました。原告労働者は、被告会社に派遣登録し、A社に派遣されて海外旅行添乗業務に従事していました。

 本件は、原告が1日8時間、週40時間を超える時間外労働があったとして、被告会社に対して残業代請求した事案です。

 被告会社は、添乗員について労基法38条の2第1項にいう労働時間を算定し難いときに当たるとして、事業場外労働みなし制の適用を主張しました。

(判決の要旨)

1審判決

 1審は、本件添乗業務は労働時間を算定し難い場合にあたるとし、事業場外労働みなし制の適用は認めましたが、必要みなし時間は11時間であるとして、1日8時間を超える部分の残業代請求を認めました。

控訴審判決

 控訴審は、労働時間が算定可能であるとし、事業場外労働みなし制の適用を否定し、原告の請求を認めました。

上告審判決

 最高裁は、旅行日程が日時や目的地等を明らかにして定められ、添乗員が自ら決定できる事項の範囲及び選択の幅が限られていること、A社は旅行日程に沿った業務を具体的に指示し、旅行日程の修了後には内容の正確性を確認し得る添乗日報によって詳細な業務報告を受けることなどから、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、A社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等に鑑みると、本件添乗業務については、これに従事する添乗員の勤務の状況を具体的に把握することが困難であったとは認め難く、労働時間を算定し難いときには当たらないとし、控訴審判決を維持しました。

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