Case435 主任ケアマネージャーを管理監督者と扱い残業代を支払わなかったことについて代表取締役の重過失を認定して損害賠償責任を認めた事案・そらふね元代表取締役事件・名古屋高金沢支判令5.2.22労判1294.39

(事案の概要)

 原告労働者は主任ケアマネージャーとして本件会社に勤務していましたが、本件会社が居宅介護支援事業を廃止することとし原告も退職しました。その後、本件会社は解散しました。

 原告は、本件会社で管理監督者扱いされており、残業代が支払われていませんでした。

 本件は、原告が本件会社の代表者を被告として、会社法429条1項に基づき未払残業代相当の損害賠償請求をした事案です。

(判決の要旨)

 判決は、①原告が会社の営業会議に参加して従業員の雇用についての提案をするなどし、会社の事業全体について一定の影響力を有していることが認められるものの、従業員の雇用の決定にまで関与しているとは認められないこと、②主任ケアマネージャー就任後は平均超過勤務時間が大幅に増加し、シフトも割り当てられていることから、自らの労働時間について裁量があるとは認められないこと、③主任ケアマネージャー就任後も支給額がほとんど変わっておらず、介護支援専門員の平均給与額との比較においても管理監督者として相応しい待遇を受けているとは認めがたいことから、管理監督者性を否定しました。

 そして、代表者は、原告を管理監督者と扱って残業代を支払わないと決めたのであるから、原告に残業代が支払われないのは代表者の任務懈怠に当たるとしました。

 また、管理監督者該当性の判断基準への当てはめるは容易に判断することはできず、当てはめを誤ったことが直ちに重過失されるものではないが、代表者は原告の業務を自分なりに管理監督者の判断基準に当てはめた上で原告を管理監督者にしたものではなく、残業代を支払わない方法として管理監督者という制度を利用したものであるから、代表者に重過失が認められるとし、損害賠償請求を認めました。

※確定

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