Case194 民法627条の2週間の退職予告期間を就業規則により延長することはできず退職に会社の許可を必要とすることもできないとした事案・高野メリヤス事件・東京地判昭51.10.29労判264.35
(事案の概要)
被告会社の就業規則には「退職を希望する場合は遅くとも1か月前、役付者は6か月前以前に退職願を提出し、会社の許可を得なければならない」と定められていました。
役付者(係長)である原告労働者は、3か月前に会社に退職を通知し、退職金を請求しました。
会社は、原告の退職を認めず、無断欠勤を理由に原告を懲戒解雇にしたとして退職金を不支給としました。
本件は、原告が、就業規則は退職につき2週間の予告期間を定めた民法627条に違反し無効であるとして、退職金の支払いを求めた事案です。
(判決の要旨)
判決は、法は労働者が労働契約から脱することを欲する場合に、これを制限する手段となり得るものを極力排斥して労働者の解約の自由を保障しようとしているのであり、民法627条の予告期間は、使用者のためにはこれを延長できないとしました。また、退職に会社の許可を要するとすることはできないとしました。
そして、就業規則は民法627条に抵触しない範囲でのみ有効であるとし、原告の退職を認め、退職金請求を認めました。