Case216 地方公務員法46条等に基づく措置要求を棄却する市人事委員会の判定が違法として取り消された事案・ 川崎市・市人事委員会(是正措置要求)事件・横浜地判令3.9.27労判1266.85
(事案の概要)
川崎市人事委員会の、原告労働者2名の措置要求を棄却する判定に対する取消訴訟です。
原告らは、平成22年度に中学校等の事務職員として川崎市に採用され、神奈川県が給与を負担する県費負担教職員でした。平成29年度から、県費負担教職員の給与等の負担が神奈川県から川崎市に移譲されました。このとき、原告らに適用される給与が、県の給料表から市の給料表に切り替えられた結果、原告らを含む平成22年度採用職員の給与は不利益を受けました。
原告らは、地方公務員法46条等に基づき、川崎市人事委員会に対して、給与に著しい不均衡が発生しているため是正を要求する旨の本件措置要求を行いましたが、人事委員会は、市給与条例の内容の是非に介入すべきではないなどとして、これを棄却する判定をしました。
(判決の要旨)
判決は、地方公務員法46条等の規定から、措置要求の対象は、①給与、勤務時間その他の勤務条件に関するものであり、かつ、②人事委員会または公平委員会、あるいは地方公共団体の機関が、一定の措置をとる権限を有するものであるとしました。
そのうえで、本件措置要求の対象は、①給与に関する事項であり、かつ、②川崎市長が市給与条例の改正案を議会に提出することに法令上の支障はないから、上記要件を満たすとし、本件判定は要求事項について判断したものということはできず違法であるとしてこれを取り消しました。
※確定