Case261 週40時間を超える所定労働時間を無効とし総務部長の管理監督者性を否定した事案・辻󠄀中事件・大阪地判令4.4.28

(事案の概要)

 被告会社で総務部長として働いていた原告労働者が残業代請求した事案です。

 会社の所定労働時間は1日7時間10分とされていましたが、所定労働日が6日とされている週もありました。

 会社は、原告が管理監督者に当たると主張しました。

 会社は変形労働時間の主張もしていましたが否定されています。

(判決の要旨)

1 所定労働時間

 判決は、所定労働日が6日とされている週について、週40時間を超えた部分は労基法32条1項に反して無効であるとして、6日目の所定労働時間は4時間10分であるとしました。

2 管理監督者性

 判決は、原告の職務の内容は、経理事務や行政機関に提出する書類の作成など、事務的性格の強いものであり、原告が会社の事業経営に関する意思決定に影響を及ぼし、部下の採用及び解雇等の人事権を有していた事実はなく、約500万円~600万円という給与の額も管理監督者としてふさわしい待遇であるとはいえないとして、管理監督者性を否定し、原告の残業代請求を認めました。

3 付加金

 会社の労働時間管理等に大きな問題があったが、高い悪質性があるとまではいえないとして、割増賃金の2分の1の付加金のみ認めました。

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