Case295 労働者が在職中に会社の業務妨害の予備行為を行ったことが懲戒解雇事由に該当するものの退職金の返還は認められないとした事案・ジブラルタ生命保険事件・東京地判令4.6.10労経速2504.27

(事案の概要)

 原告会社が被告労働者2名に対して退職金の返還を求めた事案です。

 被告労働者らは、原告会社を退職し、退職金の支給を受けました。

 その後、被告労働者らが、原告会社在職中に、退職後に顧客を訪問し、原告会社の取り扱う商品の不利性を訴え、新たな保険・運用商品を提案する意図を伝える文書を作成し、送付する準備を行っていたこと等が発覚しました。

(判決の要旨)

 判決は、被告労働者らの行為が会社の業務妨害の予備行為に該当することは否定することができず、形式的に懲戒解雇処分事由に該当することは否定し難いものの、会社に採用されて以降の長年の勤続の功を抹消ないし減殺してしまうほどの著しく信義に反する行為であったとまで評価することは困難であるとして、会社の退職金返還請求を棄却しました。

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