Case308 石綿被害につき一人親方の保護を認めた最高裁判例・建設アスベスト(大阪)事件・最判令3.5.17労判1268.5
(事案の概要)
石綿(アスベスト)含有建材から生ずる石綿粉じんにばく露したことにより石綿関連疾患(中皮腫等)を発症した建設作業従事者やその遺族が、国に対して、石綿粉じんにばく露することを防止するために労働安全衛生法(安衛法)に基づく規制権限を行使しなかったことの違法性を主張して国家賠償を求め、建材メーカーらに対して、石綿粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険がること等を表示せずに石綿含有建材を製造販売したことの違法性を主張して不法行為に基づく損害賠償を求めた集団訴訟の大阪訴訟です。
(判決の要旨)
控訴審判決
大阪高裁は、国が昭和50年10月1日以降、防じんマスクの着用、建材への警告表示及び作業現場掲示の各義務付けについて規制権限を行使しなかったことは、国賠法上違法であるとしました。
もっとも、安衛法上の労働者に当たらない者(一人親方等)については保護されないとしました。
最高裁判決
最高裁も、規制権限不行使につき国の責任を認めたうえ、石綿による健康被害が生ずるおそれのあることは安衛法上の労働者に当たるか否かによって変わるものではないとして、労働者に該当しない一人親方等も保護されるとしました。