Case320 タクシー乗務員の明示の同意のない賃金からのハイグレード車使用料の控除が無効とされた事案・大陸交通事件・東京地判令3.4.8労判1282.62

(事案の概要)

 タクシー運転手である原告労働者らの給料からは、GPS機器搭載車両の使用料(GPS使用料)とハイグレード車の使用料(HG車使用料)が控除されていました。

 GPS使用料の控除については労使協定及び原告らの同意書がありましたが、HG車使用料の控除については労使協定があるのみで原告らの同意書はありませんでした。

 本件は、原告らが被告会社に対して、GPS使用料及びHG車使用料の控除が違法であると主張して、控除された賃金等の支払いを求めた事案です。

(判決の要旨)

1 GPS使用料の控除

 判決は、GPS使用料の控除については、原告らの同意書があること、乗務員はGPS非搭載車に乗務することも可能であったことなどから、控除について原告らの同意があったとして有効としました。

2 HG車使用料の控除

 一方で、HG車使用料の控除については、原告らの明示の同意があったとは認められず、原告らが控除に異議を述べていなかったことをもって黙示の同意を容易に認めることもできないとして、控除を無効としました。

※控訴

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