Case390 外部団体に告発文書を送信し刑事告訴され不起訴処分を受けたことが「刑事上の罰に問われた」及び「会社の信用を著しく損なう行為」の懲戒解雇事由に該当しないとされた事案・A不動産事件・広島高判平29.7.14労判1170.5

(事案の概要)

 原告労働者は、被告会社の代表者が理事を務める公益社団法人に対して、会社代表者の息子(会社役員)が詐欺罪で逮捕されたことを告発する文書をFAX送信(本件送信)しました。

 会社代表者は、本件送信について刑事告訴したうえ、本件送信を行ったのが原告であることを特定し、本件送信等が「刑事上の罰に問われた」とき及び「会社の信用を著しく損なう行為のあったとき」の懲戒解雇事由に該当するとして原告を懲戒解雇しました。その後、原告は不起訴処分となりました。

 本件は、原告が会社に対して、懲戒解雇の無効を主張して、雇用契約上の地位確認等を求めた事案です。

 会社は、訴訟上で予備的に普通解雇の意思表示をしました。

(判決の要旨)

 判決は、懲戒解雇事由である「刑事上の罰に問われた」ときとは、文言上起訴されて刑罰に問われた場合を指すとして、不起訴処分を受けたにすぎない原告は上記懲戒解雇事由に該当しないとしました。

 また、懲戒解雇事由である「会社の信用を著しく損なう行為のあったとき」とは、「著しく」という文言や懲戒解雇が労働者に与える影響、考課に鑑みると、その行為により、会社の信用が害され、実際に重大な損害が生じたか、少なくとも重大な損害が生じる蓋然性が高度であった場合をいい、原告による信用毀損が原因で、会社に実際に重大な損害が生じたとか、重大な損害が発生する蓋然性が高かったとまではいえないから、本件送信は懲戒解雇事由に該当しないとし、本件懲戒解雇を無効としました。

 もっとも、予備的な普通解雇は有効とされました。

※確定

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