Case417 会社が組合のストライキを批判する社長声明を掲示し臨時徴収費のチェック・オフを拒否したことが支配介入に当たるとされた事案・プリマハム事件・東京高判昭56.9.28労経速1134.7

(事案の概要)

 中央労働委員会の不当労働行為救済命令に対して会社が提起した取消訴訟です。

1 社長声明文

 賃上げを議題とする団体交渉において会社が組合に対して「最終回答」との態度を明らかにしたため、組合が団体交渉の決裂を宣言し、これに対して社長が「従業員の皆さん」「組合幹部の皆さんは会社の誠意をどう評価されたのか判りませんが、団交決裂を宣言してきました。これはとりもなおさず、ストライキを決行することだと思います。私にはどうもストのためのストを行わんとする姿にしか写って来ないのは、甚だ遺憾であります。会社も現在以上の回答を出すことは絶対不可能でありますので、重大な決意をせざるを得ません。お互いに節度ある行動をとられんことを念願いたしております。」とする社長声明を全事業所に掲示しました。

 労働委員会は、社長声明が支配介入の不当労働行為に当たるとしていました。

2 チェック・オフ拒否

 組合は、労働協約に基づき、ストライキにより賃金カットが生じた際に、組合員間の公平をはかるために通常の組合費とは別の臨時徴収費を賃金から徴収する(チェック・オフ)よう会社に求め、会社はこれに異議なく応じてきました。

 しかし、会社は上記社長声明が出された年の臨時徴収費のチェック・オフを拒否しました。

 労働委員会は、チェック・オフ拒否が不当労働行為に当たるとしていました。

(判決の要旨)

一審判決・東京地判昭51.5.21労判254.42

1 社長声明

 判決は、「およそ使用者だからといって憲法21条に掲げる言論の自由が否定されるいわれがないことはもちろんであるが、憲法28条の団結権を侵害してはならないという制約をうけることを免れず、使用者の言論が組合の結成、運営に対する支配介入にわたる場合は不当労働行為として禁止の対象となると解すべきである。これを具体的にいれば、組合に対する使用者の言論が不当労働行為に該当するかどうかは、言論の内容、発表の手段、方法、発表の時期、発表者の地位、身分、言論発表の与える影響などを総合して判断し、当該言論が組合員に対し威嚇的効果を与え、組合の組織、運営に影響を及ぼすような場合は支配介入となるというべきである。」としたうえ、「本件社長声明文は、ストライキをいつどのような方法で行うか等という、組合が自主的に判断して行動すべきいわゆる組合の内部運営に対する支配介入行為にあたる」としました。

 そして、本件社長声明文は、ストライキをいつどのような方法で行うか等という、組合が自主的に判断して行動すべきいわゆる組合の内部運営に対する支配介入行為にあたるとしました。

2 チェック・オフ拒否

 判決は、使用者が組合活動を弱める目的で、従来から行われていたチェック・オフを拒否することは、特段の事情がない限り支配介入行為として不当労働行為となるとしました。

 そして、本件チェック・オフ拒否は、賃上げ闘争の長期化をおそれる会社が組合の弱体化をはかるためにしたもので支配介入の不当労働行為に当たるとしました。

控訴審判決

 控訴審も、一審判決の結論を維持し、会社の控訴を棄却しました。

※上告棄却により確定

Follow me!