Case458 雇用期間満了前に労働者を合意退職扱いしたことが違法な解雇に当たるとして慰謝料10万円が認められた事案・ISS事件・東京地判令5.1.16労経速2522.26

(事案の概要)

 原告労働者は、被告会社と令和2年2月3日から3か月間の有期雇用契約(本件雇用契約)を締結し、本件雇用契約は2回更新され、最後の契約期間は同年9月30日までとされました。

 原告は、同年8月27日、会社から同年9月20日をもって本件雇用契約を合意解約することを提案されました。原告は同月5日から有給消化に入り、会社は原告が同月20日に退職したものとして取り扱いました。

 本件は、原告が会社に対して、9月20日に合意退職した事実はなく、20日での退職扱いは会社による一方的な解雇であるとして損害賠償請求した事案です。

 なお、原告は9月30日付けの雇止めの効力も争いましたが、雇止めは有効とされています。

(判決の要旨)

 判決は、原告と会社が契約期間を9月30日までとする雇用契約書を作成していたこと、原告が同月14日以降会社に対して繰り返し解雇されたと主張し労働局にあっせん申請したことなどから、原告が9月20日での合意解約に同意していたとはいえないとし、会社の違法な解雇による不法行為の成立を認め、慰謝料10万円を認めました。

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