Case538 解雇無効の判決が確定した後にされた福岡県から福島県への配置転換命令が不当な動機・目的によるものとして無効とされた事案・学校法人コングレガシオン・ド・ノートルダムほか(明治学園)事件・福岡地小倉支判令5.9.19労判1313.54
(事案の概要)
原告労働者は、被告法人Aが設置・運営していた福岡県の中学・高校(本件学校C)に教員として20年以上勤めていました。
被告法人Aは、平成29年8月に原告を解雇しましたが、令和3年1月に解雇無効の判決が確定しました。しかし、その後も被告法人Aは、原告に対して本件学校Cの教員としての就労を命じず、本件学校Cの敷地内への立入を禁止していました。
被告法人Aは、令和3年10月、原告に対して、被告法人Aが設置・運営していた福島県の中学・高校(本件学校D)で勤務することを命じる本件配転命令をしました。
本件学校Cの設置者は、被告法人Aから令和5年4月に新設された被告法人Bに変更されました。
本件は、原告が、被告法人Aに対して本件学校Dに勤務すべき雇用契約上の義務のないことの確認、被告法人Bに対して雇用契約上の地位確認などを求めた事案です。
(判決の要旨)
判決は、本件配転命令に業務上の必要性がないとまではいえないとしつつ、20年以上本件学校Cで教員として勤務していた原告に対する解雇を無効とする判決が確定して、本件学校Cに復帰すべき状況にもかかわらず、その後約9か月間にわたり原告は本件学校Cに復帰させてもらえず、本件学校Cの敷地内への立入りすら禁じられた状態が継続し、これまで一般の教職員が本件学校Cから本件学校Dへ異動となった例はうかがわれない中で、異動について何らの意向の聴取等も行われずに本件配転命令を受けるに至ったという一連の経過、および本件配転命令の業務上の必要性はないとはいえない程度にとどまることに照らせば、本件配転命令が、業務上の必要性とは異なる不当な動機・目的をもってされたことが強く疑われるうえ、原告に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものといわざるを得ないとして、本件配転命令を無効としました。
そして、被告法人Aに対する本件学校Dに勤務すべき雇用契約上の義務のないことの確認および被告法人Bに対する雇用契約上の地位確認請求を認めました。
※控訴