【労働組合】Case583 組合からの脱退勧奨及び直後の自宅待機命令が不当労働行為及び不法行為とされた事案・大浜資材事件・大阪地判令6.7.10労判1323.23
⑴ 事案の概要
被告会社は、原告労働者ら2名に対し、所属する労働組合から脱退するよう勧告しました。原告らがこの勧告に従わず組合員であり続けることを選択したところ、会社は原告らに対して終期を定めずに自宅待機を命じました(本件自宅待機命令)。
本件は、原告らが、労働組合からの脱退勧告および自宅待機命令が不当労働行為および不法行為にあたるとして、会社に対して損害賠償請求した事案です。
⑵ 判決の要旨
ア 組合脱退勧告について
裁判所は、脱退勧告に使用された本件勧告書が、事業協同組合である広域協から、本件組合に属する人物の雇用を継続することは被告と広域協との間の協定に反するとの答申が出され、原告らが本件組合から速やかに脱退するよう勧告する内容であったこと、および勧告時の被告社長や取締役の発言等から、被告による本件勧告は本件組合を嫌悪してされたものと推認できるとしました。
その上で、本件勧告は、労働組合法第7条第3号の支配介入の不当労働行為にあたり、不法行為法上も違法であると判断し、原告各自について慰謝料10万円を認めました。
イ 自宅待機命令について
裁判所は、会社が、原告らが本件組合から脱退せず組合員であり続けることを選択したことを理由に、原告らに対し、本件自宅待機命令という不利益な取扱いをしたと判断しました。これは、労働組合法第7条第1号の不当労働行為に該当するとしました。
加えて、本件自宅待機命令には業務上の必要性や合理性はなく、原告らが本件勧告に従わないことに対する制裁としてされたものというべきであると判断し、したがって、被告は不当な目的で業務命令権を濫用したとして、本件自宅待機命令は不法行為法上も違法であると判断しました。
損害としては、自宅待機命令がなかったら原告らが受給できていた賃金及び一時金相当額及び慰謝料各20万円を認めました。
※控訴