【雇止め】Case645 更新の合理的期待が生じた後の更新上限の定めは労働者の自由な意思に基づく必要があるとされた事案・日本通運(川崎・雇止め)事件・東京高判令4.9.14労判1281.14

【事案の概要】

原告労働者Xは、平成24年9月から派遣社員として被告Y社の配送センターで就労した後、平成25年6月、Y社との間で直接雇用の有期労働契約(本件雇用契約)を締結しました。本件雇用契約の締結に際し、契約書には「Y社における最初の雇用契約開始から通算して5年を超えて更新することはない」旨の更新上限(不更新条項)が明記されており、Xはその内容を確認して署名押印しました。

その後、契約は3回更新されましたが、通算期間が5年となる平成30年6月30日の期間満了をもって、Y社はXを雇止めしました。Y社では、労働契約法18条に基づく無期転換申込権の発生を踏まえ、原則として通算5年を超えて更新しない運用基準を設けていました。 Xは、この雇止めは無期転換逃れを目的としたものであり公序良俗に反して無効であること、また、更新に対する合理的期待(労働契約法19条2号)があるとして、地位確認等を求めて提訴しました。

【判決の要旨】

判決は、労働者は、労働契約上、使用者の指揮命令に服すべき立場に置かれ、自ら意思決定の基礎となる情報を収集する能力も限られるため、自らに不利益な内容の合意も受け入れざるを得ない状況に置かれる場合がある、したがって、例えば、有期労働契約が反復して更新される間に、労働者が既に契約更新の合理的期待を有するに至った場合において、新たに更新上限を定めた更新契約を締結するようなときは、上記の観点から、労働者が新たに更新上限を導入することを自由な意思をもって受け入れ、既に有していた合理的期待が消滅したといえるかどうかについて、単に労働者の承諾の意思表示の有無のみに着目するにとどまらず、慎重に判断すべき場合があると解されるとしました。

もっとも、本件においては、当初から更新上限が明確に合意されていた以上、Xに更新への合理的期待(労働契約法19条2号)は生じていなかったとして、雇止めは有効とされました。

※上告受理申立

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