【不当解雇】Case647 人員削減を目的としてされた変更解約告知を整理解雇と別個独立のものであるとすることはできないとした事案・関西金属工業事件・大阪高判平19.5.17労判943.5

【事案の概要】

主要取引先との取引解消により売上が激減した被告Y社は、経営再建のため、勤続25年以上の全従業員(希望退職者を除く)に対し、従来の雇用契約を解約し、賃金引き下げ等の新たな労働条件での再雇用を申し込む旨の通知(本件変更解約告知)を行いました。この通知において、Y社は「変更解約告知に応じて新規採用に応募した場合であっても、採用されない場合がある(6名程度の人員削減を予定)」ことを明示していました。原告労働者ら10名は、この変更解約告知(新条件での再雇用)に応じなかったため、全員が解雇されました。

Y社は、これは「変更解約告知」という独自の手法であり整理解雇とは異なると主張しましたが、原告らは解雇無効を主張して提訴しました。

【判決の要旨】

⑴変更解約告知と整理解雇の関係

判決は、変更解約告知とは、新たな労働条件での新雇用契約の締結(再雇用)の申込みを伴った従来の雇用契約の解約(解雇)であり、それを受け入れるか否かのイニシアティブは、労働者の側にあることから、解雇とは異なった扱いがなされるものと解されるところ、本件変更解約告知は、その実態は、これに応じない者のうち6名に対しては、解雇することを予定しているものであるから、本件の変更解約告知を整理解雇と別個独立のものであるとするY社の主張は採用できないとして、本件解雇に整理解雇法理と同様の要件を必要としました。

⑵人員削減の必要性

判決は、人員削減の必要性について、本件のように、それが労働条件の変更のみならず人員の削減を目的として行われ、一定の人員については再雇用しないことが予定されている場合には、整理解雇と同様の機能を有することとなるから、整理解雇の場合と同様に、その変更解約告知において再雇用されないことが予定された人員に見合った人員整理の必要性が存在することが必要となると考えられる、すなわち、人員の削減を目的として本件のような変更解約告知が行われた場合に、変更解約告知に応じない者が多数生じたからといって、人員整理の必要性により本来許容されるべき限度を超えて解雇が行われることは許されないというべきであるとしました。

その上で、Y社においては人件費削減の必要性は高かったものの、Y社の主張に基づいても人員削減の必要性が認められるのは「6名」であり、「10名」全員を解雇する必要性の立証はなされていないとして、本件変更解約告知において削減された人員に見合った人員整理の必要性は認められないとしました。

⑶手続きの相当性

Y社が、自身が説明した人員削減の必要性の範囲を超えて10名について本件解雇を行うことは、労使間の手続の相当性の点においても合理性を欠くとしました。

⑷結論

以上のことから、本件変更解約告知による10名の解雇はすべて無効であり、原告らの地位確認および賃金支払請求が認容されました。

※確定

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