Case224 外資系金融機関の雇用慣行を前提としても整理解雇の4要件(要素)が妥当するとしてポジションの廃止を理由とする整理解雇を無効とした事案・バークレイズ証券事件・東京地判令3.12.13労判1290.91
(事案の概要)
原告労働者は、世界的な外資系金融機関である被告会社において、最上位の職位にあるシンジケーション本部長で、年収は約6000万円でした。
会社は、シンジケーション本部における原告のポジションを廃止することになったとして、原告を整理解雇しました。
本件は、原告が会社に対して、整理解雇の無効を主張し雇用契約上の地位の確認等を求めた事案です。
(判決の要旨)
被告は、極めて高額な報酬が得られる代わりに、会社に貢献できなくなった場合には退職を求められる可能性があるという外資系金融機関の雇用慣行に照らせば、整理解雇の4要件(要素)を適用すべきではないと主張しましたが、判決は、雇用慣行等を背景とした労働契約の内容を踏まえるべきことと整理解雇の4要件(要素)を考慮すべきことは何ら矛盾するものではないとしました。
そのうえ、被告及びシンジケーション本部の業績が悪化しているとは認められず人員削減の必要性を欠くとしました。また、解雇回避措置や合理的な人選もなされていないとして、整理解雇を無効としました。
※控訴