Case228 私生活上の住居侵入罪を理由とする懲戒解雇を無効とした最高裁判例・横浜ゴム事件・最判昭45.7.28民集24.7.1220【百選10版59】

(事案の概要)

 原告労働者は、他人の住居に侵入し、家人に見つかり逃走しましたが逮捕され、住居侵入罪により罰金2500円に処されました。この噂は、被告会社の工場周辺の住民や従業員に広まりました。

 会社は、就業規則上の懲戒解雇事由である「不正不義の行為を犯し、会社の体面を著しく汚した者」に当たるとして原告を懲戒解雇しました。

 本件は、原告が懲戒解雇の無効を主張し地位確認等を求めた事案です。

 一審、控訴審ともに懲戒解雇を無効としていました。

(判決の要旨)

 判決は、原告の行為は、会社の組織、業務等に関係のないいわば私生活の範囲内で行われたものであること、原告が受けた刑罰が罰金2500円程度に止まったこと、原告の職務上の地位も指導的なものでないことなどの諸事情を勘案すると、原告の行為が会社の体面を著しく汚したとまではいえないとして、懲戒解雇を無効としました。

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