Case252 整理解雇的雇止めを無効とし育児休業を拒否されたことに対する慰謝料請求を認めた事案・日欧産業協力センター事件・東京高判平17.1.26労判890.18

(事案の概要)

 原告女性労働者は、被告会社と1年間の有期雇用契約を締結しました。本件雇用契約には自動更新条項があり、5年間自動更新されていました。

 原告が会社に対して育児休業の取得を申し出たところ、会社は原告に対して、本件雇用契約は有期雇用であるから育児介護休業法の適用がない旨回答すると同時に、財政上の危機を理由に原告を雇止めしました。

 当時の育児介護休業法は、有期雇用労働者を育児休業の対象から除外していましたが、無期雇用契約と実質的に異ならない状態となっていた場合には育児休業の対象となると解されていました。

 本件は、原告が会社に対して雇止めの無効を主張して雇用契約上の地位確認等を求めるとともに、育児休業の拒否が不法行為に当たるとして損害賠償請求した事案です。

(判決の要旨)

1 雇止め

 判決は、本件雇止めを整理解雇的なものであるとしたうえ、人員削減の必要性が高くなく、人員削減の必要性の程度に応じて雇止めを是認できるだけの解雇回避努力がされたとはいえないとして本件雇止めを無効としました。

2 損害賠償請求

 判決は、本件労働契約が無期雇用契約と実質的に異ならない状態になっていたとしたうえ、会社が育児休業を拒否したことが不法行為に当たるとして慰謝料40万円の支払いを認めました。

※確定

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