Case329 雇止め係争中の学校法人による残置物の撤去等が違法な自力救済に当たるとして法人や代理人弁護士に対する慰謝料請求が認められた事案・学校法人羽衣学園(羽衣国際大学・損害賠償請求等)事件・大阪高判令5.1.26労経速2510.9

(事案の概要)

>学校法人羽衣学園(羽衣国際大学・地位確認)事件の原告が提起した関連事件です。

 原告は、雇止めされた後も、在職中に使用していた研究室の鍵を管理し、研究室の退去を拒否していました。

 法人は、原告に無断で研究室の鍵を開錠してこれを取替え、原告が残置した動産を撤去しました。

 本件は、原告が法人らによる違法な自力救済を主張して、法人に対して研究室及び動産の引き渡しを求めるとともに、法人、大学の学長、事務長及び法人代理人弁護士に対して慰謝料請求した事案です。

(判決の要旨)

 判決は、私力の行使は原則として禁止され、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で例外的に許されるとしました。

 そして、雇止め後も原告が所有動産を置いて研究室を占有していたとしたうえ、被告らの行為は違法な自力救済に当たるとして、法人に対して研究室及び動産の引き渡しを命じるとともに、被告らに対して連帯して慰謝料20万円の支払いを命じました。

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