Case406 関連会社での勤務経験を踏まえて採用された更新回数1回の労働者について更新の合理的期待を認め雇止めを無効とした事案・エヌ・ティ・ティ・コムチェオ事件・大阪地判平23.9.29労判1038.27

(事案の概要)

 原告労働者は、平成13年4月から被告会社の関連会社で有期雇用契約を更新してきました。原告は、会社が関連会社の従業員に対して行った契約社員の募集に応募し、平成21年4月から会社と期間6か月の有期雇用を締結し、1回契約更新しましたが、平成22年3月末日で雇止めされました。

 原告の勤務場所は関連会社のときと会社に雇用された後で変わりませんでした。

 本件は、原告が会社に対して、雇止めの無効を主張して雇用契約上の地位の確認等を求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、原告の業務がフリーダイヤルやナビダイヤルの営業で恒常的な業務であること、会社は関連会社での原告の業務経験を踏まえて採用していること、原告も契約が更新されるとの認識を持っていたこと、更新時の契約書のうち原告保持分について作成日付も原告の記名押印もなく厳格な手続きがとられていなかったことなどから、更新の合理的期待があったとしました(労契法19条2号)。

 また、原告にはデータ入力の遅れや個人行動計画表の未提出、虚偽報告と旅費の不正請求がありましたが、個人成績に特段問題がないこと、顧客から一定の評価を受けていること、不正請求の額も2190円と軽微であること、データ入力については指導は受けたものの処分はされていないことなどから、雇止めを正当化させるに足りる事由があるとは認められないとして雇止めを濫用として無効としました。

※控訴

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