Case416 正規職員と業務内容及び責任の程度が同一の嘱託職員について退職金規程を定めないことが旧パート法8条1項に違反するとされた事案・京都市立浴場運営財団ほか事件・京都地判平29.9.20労判1167.34
(事案の概要)
原告ら労働者は、市立浴場の管理運営を目的とする一般社団法人である被告法人の解散に伴い、法人から解雇されました。
原告らのうち正規職員は、退職金規程に基づき退職金を請求し、これが認められました。
原告らのうち嘱託職員については、退職金規程が定められていなかったため、これが旧パート法8条1項に違反する差別的取扱いであるとして退職金相当額の損害賠償請求をしました。
(判決の要旨)
判決は、原告嘱託職員らの期間1年の有期労働契約が5~13回にわたって更新されてきたこと、更新手続きが形骸化していたこと、正規職員と嘱託職員の業務内容および責任の程度はまったく同じであることなどから、原告嘱託職員らは、旧パート法8条1項所定の「その全期間において、正規職員と職務の内容及び配置の変更の範囲が同一の範囲で変更されると見込まれるもの」に該当するとしました。
そして、嘱託職員らに退職金が支給されないことについての合理的理由は見当たらないとして、原告嘱託職員らに退職金を支給しないことは旧パート法8条1項の差別的取扱いに当たるとして、退職金相当額の損害賠償を認めました。
※控訴