Case427 懇親会の二次会において行われた上司から部下に対するセクハラについて会社の使用者責任を認めた事案・大阪セクハラ(S運送会社)事件・大阪地判平10.12.21労判756.26
(事案の概要)
原告労働者(女性)は、男性ドライバーとチームを組んで荷物や書類を集配するオフィスコミュニケーター(OC)として被告会社に勤務していました。原告は、上司にあたるドライバーである被告従業員(男性)が、ドライバーとOCの懇親を図るために企画した飲み会に参加し、その後二次会のカラオケに参加しました。
カラオケにおいて、被告従業員は、原告に対して隣に座るよう命令し、突然原告をソファーに押し倒し、顔を覆った原告の左手甲にキスをしたり、突然原告の顔にキスをしたり、原告のスカートをめくろうとしたりしました。被告従業員は、逃げようとする原告に対して、「何で逃げるの」「そんなんやったらこの会社でやっていかれへんで」と言って、仕事の話を絡めながら、その後も原告に対して「今から家に帰って旦那とやるんやろ」「激しいセックスしたらあかんで」などと言ったり、原告の旨を掴んだり、原告のジャケットをめくろうとしたりしました。
本件は、原告が被告従業員及び会社に対してセクハラの慰謝料を請求した事案です。
(判決の要旨)
判決は、二次会における被告従業員の一連の行為は性的嫌がらせということができ原告に対する不法行為に該当するとしました。
また、飲み会がドライバーとOCの懇親を図るために企画されたこと、二次会において被告従業員が原告に対し仕事の話に絡ませながら性的嫌がらせを繰り返したことから、原告に対する性的嫌がらせは、職務に関連させて上司たる地位を利用して行ったものであり、事業の執行につきされたものであるとして、会社の使用者責任も認めました(民法715条)。
そして、被告従業員と会社に対して慰謝料100万円の支払いを命じました。
※控訴