【不当解雇】Case646 変更解約告知の法理を否定して整理解雇法理に基づき解雇を無効とした事案・大阪労働衛生センター第一病院事件・大阪高判平11.9.1労判862.94
【事案の概要】
原告労働者Xは、病院を経営する被告Y法人に心療内科の医局員(心理職)として雇用され、長年週3日の隔日勤務という形態で勤務してきました。Xは週3日勤務でありながら、昇給や賞与については、長年の慣行として常勤従業員と同じ基準(昇給率や支給月数)で取り扱われてきました。
しかし、病院の経営が悪化し、院長はXに対し、週4日の常勤勤務に移行するか、さもなくばパートタイム従業員としての労働条件(時給制・賞与減額等)を選択するよう迫りました。Xが従来の労働条件の維持を求めてこれを拒否したため、YはXに解雇(本件解雇)を通告しました。
Yは、本件解雇は労働条件変更のために行われる解雇(いわゆる「変更解約告知」)であり、その必要性・相当性が認められるから有効であると主張しました。これに対しXは、解雇の無効と従業員たる地位の確認、および常勤職員と同様の基準に基づく未払賃金等の支払いを求めて提訴しました。
【判決の要旨】
⑴判決は、明文のない我が国においては、労働条件の変更ないし解雇に変更解約告知という独自の類型を設けることは相当でなく、解雇の実質が整理解雇にほかならない以上、整理解雇と同様の厳格な要件が必要であるとしました。
そして、Xに対し週4日勤務への変更を迫った点について、勤務日数が増えれば給与も増えるため人件費削減(経営改善)には繋がらず、解雇の経営上の必要性自体が認められないとして、本件解雇を解雇権の濫用として無効としました。
⑵Xの労働条件について、長年反復継続された取り扱い(常勤職員と同様の昇給・賞与、年次有給休暇)は、当事者間で黙示の合意が成立しており、労働契約の内容になっていると認めました。これに基づいて未払賃金等の請求が認容されました。
※上告不受理により確定

