Case18 懲戒審査中の出勤停止期間につき賃金請求を認めた事案・JTB事件・東京地判令3.4.13労経速2457.14

(事案の概要)

 経費の不正受給を理由とする懲戒解雇(諭旨退職処分に応じなかったことによる。)の有効性が争われた事案です。

 会社の就業規則上、従業員の不正事故を確認した場合、事故内容調査中及び懲戒審査中、その出勤を停止することができ、出勤停止中は賃金の6割相当額を支給することとされており、会社は同規定に基づき、解雇までの約3か月間労働者を出勤停止とし、賃金の一部を不払いとしました。

 本件では、出勤停止期間中の賃金不払いの正当性も争点となりました。

(判決の要旨)

 判決は、懲戒解雇を有効としましたが、解雇までの間に労働者が出勤したとしても、自宅待機の場合に比べて証拠隠滅等のおそれが高まるとは考え難く、労働者の出勤を禁止しなければならない差し迫った合理的な理由があったとまでは認め難いとしました。

 そして、本件出勤停止命令は、本件不正受給の調査やこれに関する懲戒審査の円滑な遂行、職場秩序維持の観点から執られたものではあるものの、なお会社の業務上の都合によって命じられたものであるというべきであり、会社は、出勤停止期間中(諭旨退職処分における退職届の提出期限まで。)の給与を全額支払う義務を負うとしました。

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