Case22 きつ音症状のある労働者の自殺が労災と認められた事案・国・札幌東労基署長(カレスサッポロ)事件・札幌地判令2.10.14労判1240.47

(事案の概要)

 労災不支給決定に対する取消訴訟です。

 原告は、新人看護師であった息子が試用期間中に精神疾患を発症して自殺したのは業務が原因であるとして労災申請(遺族補償給付等)しましたが、労基署は不支給決定をしました。

 原告の息子は、幼少期からきつ音の症状があり、業務においても緊張すると言葉が出なくなるなど、きつ音の症状が出ることがあり、患者から苦情を受けることがありました。原告の息子は、本採用考課の面談において、コミュニケーション能力の不足等を指摘され、試用期間を1か月間延長すると告げられていました。

(判決の要旨)

 判決は、業務起因性を判断する際には、同種の業務において通常の勤務に就くことが期待される一般的、平均的な労働者を基準とすべきであり、原告の息子にかかる業務起因性を判断するにあたっても、きつ音を有する労働者を基準にする必要はなく、特段の労務軽減なしに通常の新人看護師としての業務を遂行できる者を基準とすべきであるとしました。

 そのうえで、原告の息子がコミュニケーション能力の不足等を指摘され、試用期間を1か月間延長すると告げられたことは、労災認定基準の「達成困難なノルマが課せられた」「非正規社員である自分の契約満了が差し迫った」に類似するとして、心理的負荷の程度が「中」であるとしました。

 そして、患者からの苦情を受けていたこと(心理的負荷の程度「中」)等と併せると、全体的な心理的負荷の程度は、同種の労働者にとって精神障害を発症させる程度に強度なものであったとして、業務起因性を認めました。

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