Case32 米軍基地の労働者に対する制裁措置を無効とした事案・国(在日米軍基地従業員・出勤停止)事件・那覇地判令3.7.7労判1251.24

(事案の概要)

 国が行った、在日米軍基地で働く駐留軍等労働者(国が雇用し、日米両政府が分担して労務管理を行っている。)12名に対する制裁措置(私企業でいう懲戒処分)の効力が争われた事案です。

 国と駐留軍等労働者の雇用関係は、国家公務員関係ではなく、原則として労基法等が適用されます。

 原告1~11は、冷暖房機械工として勤務していましたが、共犯者の証言からエアコン部品売却の窃盗行為への関与が疑われ、7労働日の出勤停止の制裁措置を受けました(本件処分1)。

 原告12は、食堂支配人として勤務していましたが、原告12が遅刻を注意したところ「Sick leave(病休)」と言って早退しようとした従業員に対して「Please wait」等といいながら当該従業員の身体に触れ、当該従業員が「F**k off(うせろ)」と言って車に乗り込んだ後も当該従業員の肩に手を置いて仕事に戻るよう要請したことについて、3労働日の出勤停止の制裁措置を受けました(本件処分2)。

(判決の要旨)

 判決は、共犯者の証言の信用性は慎重に判断すべきなどとしつつ、原告1~11が窃盗行為に関与したと認められる的確な証拠はないから、窃盗に該当する違反行為の事実を認定することができないとして、本件処分1を無効としました。

 また、原告12の行為は、店長としての職責に基づく部下の管理・監督のためにされたものとして、業務上の必要性が認められるとし、従業員を制止するに際して多少の身体的接触があったとしても、その目的及び態様が、社会通念に照らしても必要やむを得ない範囲にとどまるものであったとして、本件処分2も無効としました。

※確定

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