Case35 業務委託とされていた者の労働者性が認められた事案・サンフィールド事件・大阪地判令2.9.4労判1251.89
(事案の概要)
原告は、会社と「業務委託契約書」を締結し、会社がA社から受託した業務を行っていました。また会社と締結した「覚書」に従い、会社から月額基本料等の支払を受けていました。覚書には、勤務時間(8時間)を超えて勤務した場合に超過料金を支払う規定や、欠勤控除の規定もありました。
原告は、会社との契約(本件契約)が労働契約であるとして、会社に対して未払賃金を請求しました。会社は、原告が契約違反、不信行為により会社に与えた損害を支払うまで料金を支払わないと主張しました。
なお、会社は労働者派遣業の許可を受けていませんでした。
(判決の要旨)
判決は、原告に仕事の諾否の自由がなかったこと、A社から具体的な指揮命令を受けていたこと、被告の命令で通常予定されている業務以外の業務を行うこともあったこと、勤務場所及び勤務時間の指定及び管理を受けており、労務提供の量及び配分について裁量がなかったこと、原告が他者に業務を委ねることが予定されていなかったことなどから、原告の労務形態は、会社の指揮命令下において労務を提供するものであったとしました。
また、原告の報酬は、出来高制ではなく時間単位で計算され、欠勤控除や残業をした場合の手当てが支給されていたことから、労務に対する対価であるとしました。
さらに、採用過程が労働者と同じであること、原告が経費を分担していないことなども考慮すると、原告と被告は使用従属関係にあり、本件契約は労働契約に当たるとしました。
加えて、判決は、契約書等に「業務委託」などの文言が使われていることについて、派遣法違反を免れるために外形を整えたにすぎないとの疑いを払拭できないとしました。
そして、本件契約が労働契約である以上、被告が賃金の支払いを拒む法的根拠はないとしました。
※確定