Case44 部下15名の労務管理を行うマネージャーの管理監督者性が否定された事案・国・川崎北労基署長(MCOR)事件・東京地判令1.11.7労判1252.83

(事案の概要)

 労災保険給付の給付基礎日額を変更する処分に対する取消訴訟です。

 過労自殺した被災者の妻である原告は、遺族補償年金給付等の支給決定を受けましたが、給付基礎日額に未払の割増賃金が含まれていませんでした。原告は、割増賃金を考慮した上で更正決定するよう求めました。労基署は、被災者が管理監督者であったとして深夜割増賃金のみを考慮した給付基礎日額の変更処分を行いました。

 被災者はマネージャーとして部下(全従業員244名中の15名)の労務管理を行っていました。

(判決の要旨)

 判決は、被災者は本件グループという限定された部署内において、部下従業員の労務管理及び一部の部下従業員の業務の進行管理を行っていただけで、経営者の有する労務管理に関する権限を経営者に代わって所掌、分掌していたといえるほどの権限を有していたとはいえないとしました。

 また、繁忙度のそれほど高くない状況において出退勤の時間が管理されていなかったことは、業務を部下に指示して行わせることが現実的には困難な状況にあったことなどから、管理監督者性を基礎づける事情として必ずしも大きな意味があるとはいえないとしました。

 被災者は、マネージャー昇進時に賃金月額が36万6000円から月額42万9000円に6万3000円増額されていましたが、昇進前は平均7万円を超える時間外手当を受給していたことや、繁忙期には月160時間を超える時間外労働をしていたことから、管理監督者性に影響を与えるような有意な待遇差があったとはいえないとしました。

 以上より、判決は被災者の管理監督者性を否定し、原処分を取り消しました。

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