Case110 大会決議を経ずに締結された、56歳以上の従業員の基本給を一律30%減額する労働協約の効力が否定された事案・鞆鉄道事件・広島高判平16.4.15労判879.82

(事案の概要)

 被告会社は、労使協議会において、労働組合に対して企業再建の合理化計画を提示し、希望退職の募集、希望退職しなかった者については、大幅な賃金の減額をすることを示しました。組合と会社は、協議のうえ、56歳に達した者の基本給を30%減とし、57歳に達した者の基本給を更に30%減とする旨の本件労働協約を締結しましたが、組合はその旨を掲示板に貼付し支部集会を開催したのみで、協約締結は組合大会の議決事項であるにもかかわらず組合大会を開催しませんでした。

 バス運転手の原告労働者3名は、本件労働協約に基づく賃金減額を受けたため、差額賃金の支払等を求めて提訴しました。

(判決の要旨)

 判決は、本件協約締結に当たって組合大会の決議がなく、不利益を受ける立場にある者の意見を十分に組み上げる真摯な努力も認められないことから、組合の協約締結権限に瑕疵があるとしました。

 また、本件労働協約による労働者の不利益が極めて大きく、経営基盤の立て直しの必要性があるとしても勤続年数や基本給の多寡を全く考慮せず56歳以上の従業員の基本給を一律30%減額することに合理性はないとし、本件労働協約の効力は原告らに及ばないとし、原告らの請求を認めました。

※上告棄却により確定

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