Case470 警察への風営法違反の告発を理由とした降格降給処分について公益通報者保護法に違反し無効であるとされた事案・パチンコ店経営会社A社事件・横浜地判令4.4.14労判1299.38

(事案の概要)

 原告労働者Aと同Bは、パチンコ店を経営する被告会社において部長職にありました。原告Bは監査役にも就任していました。

 会社代表者と経営コンサルタントは、パチンコ台の遊技釘を出玉が少なくなるよう調整するようになりました。それは風営法上公安委員会の承認を要する行為でしたが、会社は証人を得ていませんでした。

 原告Bは、コンサルタントに対して、悪質な釘調整はやめるよう注意しました。また、原告らは、代表取締役を交代すべきとの意見書を取締役らに送付し、その中で無許可での遊技釘の調整は風営法に違反し、営業禁止等の処分が科される恐れが高い行為である旨指摘し、速やかにやめるよう要請しました。

 また、原告Bは、会社代表者らが遊技釘を調整している様子を動画撮影し、原告らはこれを警察署に提出し告発しました。

 そうしたところ、原告らは、告発等を理由に部長職から解任され、これに伴い降給されました(原告Aは約71万から40万円に、原告Bは72万円から40万円に減額)。

 その後、会社に対して警察の強制捜査が行われ、会社は店舗の営業を自主的に停止し、従業員1名を除き、店舗の従業員を全員解雇しました。店舗は6か月間の営業停止処分を受けました。

 本件は、原告らが会社に対して、降給処分及び解雇の無効を主張し、雇用契約上の地位の確認や差額賃金の支払いを求めた事案です。

(判決の要旨)

1 労働者性

 会社は原告らの労働者性を争いましたが、判決は、原告らの部長職としての業務実態から、原告らと会社との間に指揮命令関係があったとして、労働者性を肯定しました。

2 降給処分

 原告らに対する降給処分は、警察への告発を理由とするものであるところ、判決は、代表者らによる遊技釘の調整行為は風営法に違反し公益通報者保護法2条3項1号の通報対象事実に該当し、原告らは当該行為を現認し、これが発覚することによる処分を軽減することを目的として告発を行ったものであるから、当該告発は同法2条1項1号の公益通報に該当するとして、告発を理由に原告らに対する降格降給等をすることは許されないとして、本件降給処分は、労働契約上の根拠がないばかりか、理由も合理性がないとして無効としました。

3 解雇

 判決は、整理解雇としての本件解雇について、人員削減の必要性が認められるとしても、解雇回避努力を尽くしておらず、人選の合理性もないとして、解雇を無効としました。

 また、本件解雇は普通解雇としても理由がないとしました。

※控訴後和解

Follow me!