Case241 契約形式が業務委託契約に変更された後も労働契約該当性があるとして残業代や保険料相当額の損害賠償が認められた事案・GT-WORKS事件・大阪地判令4.5.20
(事案の概要)
原告労働者は、被告会社と労働契約を締結して土木工事施工管理等の業務に従事していましたが、会社の求めに応じて契約の形式が業務委託契約に変更されました。
これにより会社から健康保険等の資格を喪失したとされたため、原告は自ら建連国保に加入して保険料を納付しました。
本件は、原告が、会社に対して、業務委託契約変更後も会社と原告の間の契約は労働契約に当たるとして、未払残業代や自ら負担した保険料相当額の損害賠償等を求めた事案です。
(判決の要旨)
1 労働契約該当性
判決は、業務委託契約変更後も、原告は勤務日及び勤務時間についての拘束を受けていたものといえ、労務提供の代替性はなかったとしました。
また、会社が原告に対して少なくとも34万円を報酬として支払うとの合意がなされており、会社は原告が完遂した業務の量や内容ではなく、原告が一定期間において労務を提供したことの対価として報酬を支払っていたとしました。
以上より、原告は会社の指揮命令に従って労務を提供していたものであり、報酬の労務対償性も認められ、原告と会社との間の契約は労働契約に当たるとし、割増賃金及び付加金の支払いを命じました。
2 健康保険被保険者資格届出義務違反
判決は、会社は、原告の被保険者の資格の取得及び喪失等の届出を適正に行うべき義務を負い、会社がこれを怠ったことは明らかであるから、会社は原告に対して債務不履行に基づく損害賠償責任を負うとし、原告が建連国保に加入して納付した保険料額の半額の賠償を認めました。