Case276 労基法20条所定の解雇予告を欠く解雇通知であっても通知後に所定の予告期間を経過したときに解雇の効力が生じるとした最高裁判例・細谷服装事件・最判昭35.3.11民集14.3.403【百選10版70】

(事案の概要)

 被告会社は、原告労働者に対して、労基法20条の予告期間をおかず、予告手当も支払うことなく即時解雇を通知しました。

 本件では、労基法20条に違反する解雇の効力が問題となりました。

① 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

労働基準法20条

(判決の要旨)

 最高裁は、使用者が労基法20条所定の予告期間をおかず、または予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、または通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるとし、本件解雇の通知は30日の期間経過と共に解雇の効力を生じたとしました。

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