Case278 早出残業が常態化していた看護師についてナースステーションのパソコンのログイン時刻による残業代請求が認められた事案・埼玉県立病院機構事件・さいたま地判令4.7.29

(事案の概要)

 被告法人が設置する病院において看護師をしていた原告労働者は、始業時刻から業務を行ったのでは、申し送りの時刻までにやることとされている業務を終えることができないため、始業時刻より前に業務に着手し、ナースステーションのパソコンにログインしていました。

 本件は、原告が法人に対して、早出残業等の時間について残業代請求した事案です。

(判決の要旨)

 判決は、始業時刻前に原告がパソコンを使用すれば、上長である看護師長らは、即時、容易に、原告が始業時刻前に所定の業務を行っていることをしることができるはずであり、実際に原告はほとんど全ての日において始業時刻前に最初のログインをしていることから、看護師長は原告が常態として始業時刻前に業務を開始していることを知っていたとしました。

 そして、看護師長が原告に対して始業時刻前の業務を禁じたり、やめるよう指導していないことから、原告の業務は法人の黙示の指揮命令の下で行われたものであるとし、パソコンのログイン時刻からの残業代請求を認めました。

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