Case374 寮の管理人及び寮母について終業時間後及び休日の待機時間が労働時間に当たるとされた事案・共立メンテナンス事件・大阪地判平8.10.2労判706.45

(事案の概要)

 原告労働者らは夫婦で、原告Aは管理人、原告Bは寮母として被告会社の寮で働いていました。

 原告Aの終業時間は午後10時とされていましたが、午後11時まで電話交換業務、午後10時から午後11時まで館内巡視を行うこととされ、午後10時以降の業務には管理人が対処するよう求められていました。

 原告らは、休日も原告ら又はパートタイマーのいずれか一人は在寮するよう命じられていました。

 本件は、原告らが会社に対して残業代請求した事案です。

 原告Aは、毎月4万円の管理職手当を受給しており、これは従前の管理職手当1万5000円、寮務手当1万2500円及び深夜勤務手当7000円が統合され増額されたものでした。会社は、管理職手当が残業代に該当すると主張しました。

(判決の要旨)

1 終業時間後の残業

 判決は、会社から原告Aに午後10時以降の業務が指示された事実は認められないものの、原告Aは少なくとも午後11時までは業務を行い、又は発生するかもしれない業務に備えて待機することを余儀なくされていたとしました。そして、会社はそのことを知りながら、原告Aがその業務を行うことを期待していたとして、包括的業務命令を発していたとするのが相当であるとし、平日1時間の残業を認めました。

2 休日労働

 会社は休日に寮で何らかの突発的な事態が生じた場合に備え、これに対処させることが目的で原告らに在寮を命じていたというべきであり、休日における業務を命じたものであるとし、原告らが待機した日の休日労働を認めました。

3 固定残業代

 判決は、管理職手当はその趣旨が不明確で、原告Aの時間外労働等に対応したものとはいえず、従前深夜勤務手当として支払われていた7000円が含まれていたとしても、原告Aの深夜勤務の実態に比べ余りに低額にすぎるとして、管理職手当の固定残業代該当性を否定しました。

※控訴

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