Case300 就業規則で定めていない店舗独自のシフトが使われていたことから1か月単位の変形労働時間制が無効とされた事案・日本マクドナルド事件・名古屋高判令5.6.22労判1317.48

(事案の概要)

 原告労働者が、被告会社に対して残業代請求等をした事案です。

 1か月単位の変形労働時間制の効力が争点となりました。

 被告の就業規則では、「各勤務シフトにおける各日の始業時刻、終業時刻及び休憩時間は、原則として次のとおりとする」として4つのシフトが定められていましたが、原告の店舗では独自のシフトが使われていました。

(判決の要旨)

 判決は、行政解釈(昭和63年1月1日基発1号、同年3月14日基発150号)に即して、1か月単位の変形労働時間制が有効であるためには、①就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることを要し、②就業規則において定める場合には労働基準法89条により各日の労働時間の長さだけでなく、始業及び終業時刻も定める必要があり、③業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておき、各日の勤務割は、それに従って、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りるとしました。

 そして、会社は就業規則において「原則として」4つの勤務シフトの組合せを規定しているが、かかる定めは就業規則で定めていない勤務シフトによる労働を認める余地を残すものであり、そして、現に原告が勤務していた店舗においては店舗独自の勤務シフトを使って勤務割が作成されていたことに照らすと、会社が就業規則により各日、各週の労働時間を具体的に特定したものとはいえず、労基法23条の2の「特定された週」又は「特定された日」の要件を充足するものではないから、会社の定める変形労働時間制は無効であるとしました。

※確定

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