Case299 生命保険募集人としての権限・地位を濫用して顧客に契約をさせた事実は認められないとして懲戒解雇が無効とされた事案・日本郵便事件・札幌地判令4.12.8労経速2511.3

(事案の概要)

 原告労働者は、保険販売員として、被告会社がかんぽ生命から委託を受けていた保険募集業務を行っていました。

 原告は、保険契約者の意向に沿わない保険商品を提案し、乗換契約に伴う不利益を契約者に告知せず、自ら自己の成績向上と報酬獲得のために生命保険募集人としての権限・地位を濫用したという理由で会社から懲戒解雇されました。

 本件が、原告が会社に対して、本件懲戒解雇の無効を主張して、雇用契約上の地位確認等を求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、原告が、契約に関する注意事項及び意向確認書を用いて契約者の意向を確認し、乗換契約に伴う不利益の説明を行い、契約者が書面に説明を受けた旨のチェックを入れていること、会社における審査においても問題が指摘されたことはうかがわれないことなどから、会社の主張する懲戒解雇事由が存在するとはいえないとして、本件懲戒解雇を無効としました。

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