Case317 客観的合理的理由を欠く定年後再雇用拒否を無効とし雇用契約上の地位確認を認めた事案・函館バス事件・函館地判令4.12.13
(事案の概要)
被告会社の就業規則は、定年後再雇用について、労使協定の定めるところにより引き続き勤務することを希望し、かつ、労使協定により定めた再雇用適性基準を満たしている従業員については再雇用するとしていました。
バス運転手であり労働組合の執行委員長である原告労働者は、会社に定年後再雇用を希望する意向を伝えましたが、会社から再雇用を拒否されました。再雇用拒否の理由は、組合休暇を取得できるのは組合三役に限る旨の労使間合意があったにもかかわらず、組合がこれに反して組合員に組合休暇を取得させたというものでした。
本件は、原告が会社に対して、定年後再雇用を前提に雇用契約上の地位確認等を求めた事案です。
会社は、所定の手続きがなされていないなどとして、原告が定年後再雇用の承諾の意思表示をしていないと主張しました。
(判決の要旨)
判決は、定年を迎えた従業員がいずれも協定に従った運用により再雇用されていたことから、原告も特段の事情がない限り再雇用を希望する意思を有していたと推認される上、原告が組合や代理人弁護士を通じて本件再雇用拒否が無効である旨の姿勢を示していたことから、原告が再雇用につき承諾していたことが推認されるとしました。
また、組合休暇を取得できるは組合三役に限る旨の労使間合意があったとはいえないなどとして、本件再雇用拒否に客観的合理的理由があるともいえないとし、定年後再雇用を前提とした地位確認等を認めました。