Case318 同僚従業員による暴力を含む継続的なハラスメントについて会社の安全配慮義務違反が認められた事案・東海交通機械事件・名古屋地判令4.12.23労経速2511.15
(事案の概要)
原告労働者は、先輩である被告従業員から、日常的に以下のような行為を受けていました。
・原告の作成する書類に誤りが多いことや書類の作成が遅れることから、間違いを生じさせないために行うべきことを紙に書かせて、それを毎朝他の従業員がいる前で音読させる
・期限が守れなかった場合には退職するように書かせて、その後、期限が守れなかったとして退職を迫る
・原告が名札を付け忘れたとして名札を取り上げる
・原告が使用するモニターを故意に倒して損壊し、原告にモニターが損壊したことを被告会社に報告させる
・原告に謝罪のために土下座を求める
・原告の頭を殴り、原告の眼鏡を壊す
・原告にいつ退職するのか迫って頭を叩く
原告の上司である所長は、原告から被告従業員による暴行や暴言があることを伝えられましたが、原告の方が悪いと言って何らの対応も取りませんでした。
また、同じく原告の上司である係長は、被告従業員が原告に暴行するのを隣の席で認識していたはずであるのに、何らの対応も取りませんでした。
本件は、原告が被告従業員及び会社に対して損害賠償請求した事案です。
(判決の要旨)
判決は、被告従業員が原告に対して暴力を含む継続的なパワハラ行為を繰り返していたとして、被告従業員の不法行為責任及び会社の使用者責任を認めました。
また、原告の上司である所長と係長は、被告従業員が原告に対して暴力を振るっていることを認識しえたのであるから、原告が安全に業務に当たれるように被告従業員の暴力を止めさせる対応を講じる必要があったにもかかわらず、何らの対応も取らなかったのであるから、会社に安全配慮義務違反があるとし、被告らに対して慰謝料150万円等の支払いを命じました。