Case338 時間管理されていなかった大学教員についてパソコンのログイン・ログアウト時刻から労働時間を算定し、遡っての欠勤控除を否定した事案・学校法人目白学園事件・東京地判令4.3.28労経速2491.17

(事案の概要)

 被告法人が設置する大学で講師をしていた原告労働者の雇止めが有効とされた事案ですが、残業代請求が認められています。

 法人は、原告の労働時間管理を何らしていなかったため、原告は、パソコンのログイン時刻とログアウト時刻を始業・終業時刻として主張しました。

 一方、法人は、原告の労働時間が所定労働時間に満たない日もあったとして、本来欠勤控除すべきであった金額を相殺すると主張しました。

(判決の要旨)

 判決は、出勤するとまず研究室に向かいパソコンにログインの操作をしてカレンダーに時刻を記入して業務を開始し、終業時にパソコンにログアウトの操作をして上記カレンダーに時刻を記入していたとする原告の主張は信用できるとしました。

 もっとも原告が主張する業務には研究が相当程度含まれており、研究の性質上、法人の明示又は黙示の時期命令下に置かれていたといえる研究時間とそうではない研究時間があることは否定し難いとして、パソコンのログイン・ログアウトの時刻を基本としつつ、法人の明示又は黙示の指揮命令下に置かれていたといえるかを個別に判断し、労働時間を認定しました。

 また、法人の欠勤控除の主張については、法人は原告の時間管理をしていなかったのであるから、欠勤控除の権利を放棄していたとしました。

Follow me!