Case357 事務局長代理から経理主任への降格を人事権の濫用として無効とし事務局長代理の地位にあることの確認を認めた事案・大阪府板金工業組合事件・大阪地判平22.5.21労判1015.48

(事案の概要)

 原告労働者は、平日に年次有給休暇等を取得したり欠勤すること、監事会等重要な会議の日に休暇を取得すること等が、事務局長代理人相応しくないという理由で、事務局長代理から経理主任に降格され、これに伴い手当が月3万2000円減少しました。

 本件は、原告が被告組合に対して、降格減給の無効を主張し、事務局長代理の地位にあることの確認や差額賃金の支払いを求めた事案です。

(判決の要旨)

 判決は、降格を行う人事権行使に裁量権の逸脱または濫用があるか否かを判断するにあたっては、使用者側における業務上・組織上の必要性の有無およびその程度、能力、適性の欠如等の労働者側の帰責性の有無およびその程度、労働者の受ける不利益の性質およびその程度等諸般の事情を総合考慮するのが相当であるとしました。

 そして、原告が事務局長代理としての能力を備えており、その適正を欠いていたとは認めがたいこと、原告が休暇を取得することによって事務局長代理としての職責を十分に果たすことができなかったとも認め難く、本件降格後原告の代わりに事務局長代理の地位に就いた者はいないことにかんがみると、本件降格は人事権を濫用したものであって無効であるとし、事務局長代理の地位にあることの確認や差額賃金の支払いを認めました。 

※確定

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