Case461 教習所の閉鎖に関する団体交渉における使用者の発言が別会社での雇用の申込みに当たるとして別会社との雇用成立を認めた事案・ショウ・コーポレーション(魚沼中央自動車学校)事件・東京高判平20.12.25労判975.5
(事案の概要)
訴外A社の開設する教習所が閉鎖され、グループ会社である被告会社が新たに教習所を開設することになりました。
A社の代表者(被告会社の取締役でもある)は、団体交渉において、A社の従業員は原則として全員被告会社の教習所に移ってもらう旨の発言をしていました。
A社の従業員は、原則として被告会社の教習所に採用されましたが、労働組合員であった原告ら労働者は、教習所の閉鎖に伴いA社に解雇され、被告会社の教習所に採用されませんでした。
本件は、原告らが被告会社に対して雇用契約上の地位の確認等を求めた事案です。
(判決の要旨)
判決は、A社から被告会社への営業譲渡があったとは認められず、労働契約を包括的に承継する合意があったとは認められないとしました。
しかし、A社と被告会社は協力関係にあり、A社代表者は団体交渉においてA社の従業員は原則として全員被告会社の教習所に移ってもらう旨の発言をしていたのであり、これは被告会社の方針に従った発言であると推認され、A社代表者の発言は、被告会社の代理または使者として、A社の従業員に対し、勤務場所を被告会社教習所として将来雇用するとの労働契約の申込みをしたものと評価でき、原告らはこれに対する承諾の意思表示をしているとして、被告会社と原告らの間で労働契約の成立を認めました。
※上告