Case483 新入社員の自殺につき上司が労働者の業務の量等を適切に調整するための措置を採る義務や指導に際して過度な心理的負担をかけないよう配慮する義務に違反したとした事案・岡山県貨物運送事件・仙台高判平26.6.27労判1100.26

(事案の概要)

 本件労働者は、平成21年4月に被告会社に新卒入社し、家電製品の運搬等の業務を行っていました。本件労働者は、入社直後の同年5月頃から恒常的な長時間労働をしており、同年7月頃には時間外労働時間は月約130時間に及んでいました。

 また、本件労働者は、新入社員によくあるようなミスを繰り返して、被告上司(営業所の所長)から厳しい叱責(「そんなことも分からないのか」「馬鹿野郎」「帰れ」など)を頻回に受け、業務日誌にも厳しいコメント(「意味が分からない」など)を付されました。本件労働者は、自分なりにミスの防止策を検討する等の努力をしましたが、被告上司から努力を認められたり、褒められたりすることなく同年9月頃には被告上司から解雇の可能性を認識させる一層厳しい叱責を受け、同年10月に自殺しました。

 労基署は、本件労働者の自殺が労災であると認定しました。

 本件は、本件労働者の両親である原告らが、被告会社及び被告上司に対して損害賠償請求した事案です。

(判決の要旨)

 判決は、長時間労働の実態や被告上司からの叱責の実態から、本件労働者の業務には、精神障害を発病させるに足りる強い負荷があったとして、自殺と業務との間の相当因果関係を認めました。

 また、被告上司は、本件労働者を就労させるに当たり、本件労働者が業務の遂行に伴う疲労や心理的負担等が過度に蓄積して心身の健康を損なうことがないよう、①被告会社に対し、本件労働者の時間外労働時間を正確に報告して増員を要請したり、業務内容や業務分配の見直しを行うこと等により、本件労働者の業務の量等を適切に調整するための措置を採る義務、②本件労働者に対する指導に際しては、新卒社会人である本件労働者の心理状態、疲労状態、業務量や労働時間による肉体的・心理的負荷も考慮しながら、本件労働者に過度の心理的負担をかけないよう配慮する義務を負っていたとし、被告上司がこれらの義務に違反したとして、被告上司の不法行為責任及び被告会社の使用者責任を認め、両者は連帯して損害賠償責任を負うとしました。

※確定

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