Case489 友人へのチャットや診断内容等から上司からの暴行が認定された事案・マツヤデンキほか事件・大阪高判令2.11.13労判1242.33
(事案の概要)
原告労働者は、被告会社の正社員として家電量販店に勤めていました。
被告上司Aは、原告が取り扱った商品券や伝票の枚数と売上データ等が一致していなかったこと等から、原告に対し、商品券を探すよう指示をしました。その際、被告上司Aは、原告の右前腕部、頭部及び左腰部を殴打しました(本件暴行1)。原告は、翌日友人に「上司に20発ほど殴られた」旨のチャットを送りました。また、整形外科を受診し、右前腕部打撲、左腰部打撲及び頭部打撲の診断を受けました。
また、被告上司Bは、指示に従わない原告に対して、ペットボトルで原告の左目付近を殴打しました(本件暴行2)。被告上司Bは、ペットボトルで殴打したことを認めていました。
その後、原告は休職し、外傷後ストレス障害が認められるとして労基署長による労災支給決定を受けました。
本件は、原告が被告会社、被告上司A及び被告上司Bらに対して損害賠償請求した事案です。
原告はその他の従業員からの暴行等も主張していましたが、否定されています。
(判決の要旨)
判決は、本件暴行1及び本件暴行2の事実を認め、被告上司Aに対して1万420円、被告上司Bに対して1万280円の損害賠償を命じました。
また、被告会社に対して使用者責任として上記各損害について連帯して支払うよう命じました。
精神疾患の業務起因性は否定されました。
※上告棄却により確定