Case542 飲食店の店員についてランチタイムとディナータイムの間も業務が発生し休憩することができなかったとされた事案・月光フーズ事件・東京地判令3.3.4労判1314.99
(事案の概要)
本件は、被告会社が経営するお好み焼き店で社員ないしアルバイトとして勤務していた原告ら労働者2名が、会社に対して残業代や未払賃金の請求をした事案です。
争点は、賃金減額の有効性、住宅手当の除外賃金該当性、実労働時間、変形労働時間制の有効性、固定残業代の有効性、管理監督者性など多岐にわたりますが、実労働時間のうち休憩時間の認定について主に紹介します。
原告らは、店舗で朝から晩まで勤務していましたが、会社は、原告らはランチタイムの営業が終わる14時からディナータイムの営業が始まる17時までのうち、少なくとも2時間30分は休憩できていたと主張しました。原告らの所定休憩時間は2時間とされており、原告らは休憩できていなくてもタイムカードや勤務実績報告書によって休憩の記録をつけていました。
(判決の要旨)
1 休憩時間
判決は、ランチタイムの営業が終わる14時からディナータイムの営業が始まる17時までの時間帯も、原告らは残っているランチ客への対応、ランチの片づけ、ディナーの仕込み、仕入れの配達、電話対応、ディナー前の火入れ等の業務を行っており、会社がこの時間帯に社員が業務命令の指揮下にない状態となるよう何等か対応を行っていたといった事情も見当たらないとして、原告らは休憩を取得していなかったと認定しました。
2 その他
その他、判決は、原告の1名に対してされた一方的な賃金減額は無効、住宅手当は残業代の基礎賃金に算入されない除外賃金に該当しない(基礎賃金に含む)、管理監督者性は否定、変形労働時間性は無効、固定残業代は無効、とそれぞれ判断しました。
※控訴